仕事が早い人と遅い人。どちらが優秀かといえば、多くの方は「仕事が早い人」と答えるでしょう。
同じように仕事をはじめて、同じような教育を受けて、同じような地頭力であるにもかかわらず、早さに違いがあるのです。しかし、なぜ仕事の早さには個人差があるのでしょうか。
答えはシンプルで、仕事が早い人は、意識的/無意識的に、仕事をスピードアップさせるためのテクニックを使っているのです。
筆者自身、仕事で最も重きを置いているのはスピードといっても過言ではありません。ベンチャーから大企業まで経験し、スピードに大きな価値があることを知りました。たとえ100点を取れなくても、早く行動すること自体が大きく評価されるのです。そして、仕事が早い=仕事ができると評価されることも実感しております。
※仕事ができる人の特徴として「仕事が早い人」を挙げる方が多いという結果もございます。
効率的に仕事を進めることは、単に生産性を高めるだけでなく、キャリアアップや収入増にも直結します。
本記事では、なぜ仕事が早い人と遅い人がいるのか、その理由を探りながら、仕事のスピードを上げるための具体的なテクニックを紹介してまいります。
この記事を読むとわかること
・仕事が早い人と遅い人の違いがわかる
・仕事を早くするための具体的なテクニックがわかる
この記事を書いた人
古川賢人 事業開発.com編集長/株式会社イフビズ代表取締役
事業家、起業家。ベンチャー企業創業および事業開発〜運用、大企業での事業開発〜運用まで経験。世界的経済誌Forbesにてアジアで活躍する30歳未満のリーダー人材(Forbes 30 Under 30 Asia 2021)として選出された他、グッドデザイン賞、日本ギフト大賞、ACC等受賞経験あり。事業開発人材=事業家の働きやすい環境作りや事業家育成が企業成長及び経済成長の鍵と考えている。
なぜ仕事が早い人と遅い人がいるのか
まずは、仕事が早い人と遅い人がなぜ存在するのか考えていきましょう。違いとなるポイントはそこまで多くありません。
仕事への目的意識
仕事が早い人には、明確な目的意識があります。仕事を通じて達成したい目標やビジョンを持っており、それが仕事のモチベーションとなっています。
目的意識があると、どのタスクが重要であるかを的確に判断でき、無駄な時間を省くことができるのです。
例えば、プロジェクトの最終目標を常に意識しながら業務を進めることで、短期的なタスクの優先順位を適切に決めることができます。どこにゴールがあるのか、その意識がぶれなければ、あとは進めていくだけです。
性格上の違い
性格も仕事のスピードに影響を与えます。
仕事が早い性格
ポジティブ思考 | ポジティブな思考を持つ人は、困難な状況でも前向きに取り組むことができます。ポジティブな人は失敗を成長の機会と捉え、迅早に次の行動に移ることができます。 |
計画性が高い | 計画性が高い人は、タスクを効率的に整理し、優先順位を明確にして進めることができます。計画性があることで、無駄な時間を減らし、効率的に仕事を進めることができます。 |
柔軟性がある | 柔軟な性格の人は、状況の変化に迅早に対応できるため、仕事の進行を妨げる要因を最小限に抑えることができます。 |
自己管理能力が高い | 自己管理能力が高い人は、自分の時間やリソースを効果的に管理することができます。これにより、効率的に仕事を進めることができます。 |
行動力がある | 行動力がある人は、アイデアをすぐに実行に移すことができます。考えるよりも先に行動することで、早く結果を出すことができます。 |
仕事が遅い性格
慎重すぎる | 慎重すぎる人は、決断に時間がかかりがちです。完璧を求めすぎるあまり、行動に移るまでの時間が長くなり、結果的に仕事の進行が遅れることがあります。 |
優柔不断 | 優柔不断な性格の人は、決断を下すのに時間がかかり、タスクの進行が遅れることがあります。 |
ネガティブ思考 | ネガティブな思考を持つ人は、失敗を恐れるあまり、行動を起こすのに躊躇することがあります。そのため、新しいタスクに対して消極的になりがちで、仕事のスピードが遅くなることがあります。 |
集中力が続かない | 集中力が続かない人は、長時間にわたって効率的に仕事を進めることが難しくなります。 |
自己管理が苦手 | 自己管理が苦手な人は、時間の使い方がうまくなく、効率的に仕事を進めることができません。タスクを後回しにしたり、計画性なく行動することで、無駄な時間が増えてしまうことがあります。 |
自分の性格が仕事が遅い性格だったとしても、後述するテクニックを活用して、仕事を早くすることが可能です。
能力の差
スキルや経験の差も、仕事のスピードに大きな影響を与えます。経験豊富な人は、同じタスクでも効率よくこなすことができ、また新しい状況にも迅速に対応できます。
当たり前ですが、同じ作業を2人の人がする場合に、100回作業をしたことがある人と1回も作業をしたことがない人では前者の方が大抵の場合早いです。
スキルを磨くことは、仕事のスピードアップに直結する重要な要素です。また、学習意欲が高く、新しい知識やスキルを迅早に習得できる人も、仕事のスピードを上げることができます。
テクニックを知らない/知ろうとしていない
仕事を早くすることは技術によるところが大きいのも事実です。筆者としては、テクニックさえ押さえてしまえば、基本的に仕事は早くなるものだと考えています。
記載してきました目的意識、性格、能力の差を頑張ってなんとかしようとするよりも、テクニックを身につけてしまった方が楽ですし簡単です。
テクニックが身につくと仕事が早くなり、キャリアアップや収入アップなどのありがたいメリットがあります。
仕事のスピードを上げることのメリット
仕事のスピードを上げることは基本的にメリットばかりですので、ぜひご一読ください。
成長速度が早まる
仕事のスピードを上げることで、より多くの経験を積むことができ、結果的に成長早度も格段に早まります。
効率的に仕事を進めることで、新しいスキルや知識を習得する時間も増え、自己成長に繋がります。例えば、短期間で複数のプロジェクトを経験することで、異なるスキルセットを身に付けることができるでしょう。また、早く仕事を終えることで、自己啓発やスキルアップのための時間を確保することが可能ですし、頭を休める時間に充てることでメリハリのついた生活を送ることも可能です。
仕事の幅が増える
仕事のスピードが上がると、より多くの業務をこなせるようになります。これにより、様々な業務経験を積むことができ、自身のキャリアの幅を広げることができます。
例えば、スピードアップによって余裕ができた時間を新しいプロジェクトや挑戦的な業務に充てることで、自分の能力をさらに高めることが可能です。また、異なる部門やプロジェクトに参加する機会が増えることで、幅広いスキルセットを身に付けることができます。
仕事の幅が増えることで、キャリアアップのための選択幅が非常に広がります。
キャリアアップし収入が増える
仕事のスピードが上がることで、成果をより早く出すことができ、それが評価に繋がります。結果として、昇進や昇給のチャンスも増え、収入が増える可能性が高まります。
例えば、同僚よりも早くプロジェクトを完了させることで、処理能力の高さが評価され、昇進の機会が訪れることもあるでしょう。また、スピードアップにより生産性が向上することで、業績に貢献し、報酬やボーナスが増えることも期待できます。
仕事のスピードを上げるテクニック
ここまで示してきたように、仕事のスピードを上げることは、基本的にメリットしかないと筆者は考えています。
大前提の思考方法:クイック&ダーティ
クイック&ダーティとは、完璧を求めすぎず、迅早に結果を出す考え方です。まずは早く動き、その後改善を重ねることで、効率的に仕事を進めることができます。
簡単に言うと、50点を目指して動く考え方です。100点は目指さなくて良いのです。50点を積み重ねることで100点に近づけていきます。多くの場合、100点を目指そうとして遅くなりがちです。たくさんフィードバックをもらえるので、結果的に早くて質が高くなります。
クイック&ダーティに行動することで、時間をかけて完璧を目指すよりも早く成果を出すことができます。
50点を目指せば約5回で100点に近づきます
・1回目:50点
・2回目:50点+50点×50%=75点
・3回目:75点+25点×50%=87.5点
・4回目:87.5点+12.5点×50%=93.75点
・5回目:93.75点+6.25点×50%≒97点
5秒考えてわからないことはすぐ聞く
5秒考えてわからないことは、すぐに周囲に聞いてしまいましょう。
ファーストチェス理論というものがあります。
ファーストチェス理論
チェスをするときに、5秒で考えた結果と30分で考えた結果が86%の確率で同じである
この理論の通り、長く考えても答えに辿り着けるかはわからないのです。
覚えていただきたいことは、自分から答えを出すのはただの手段でしかなく、答えに辿り着くことを目的とする意識が大切ということです。
聞き先
- AI
- Webサイト
- 同僚
- 上長
- SNS
- 家族
誰でも聞ける人に聞きましょう。答えを持っているかは聞かないとわからないので、「聞く」というコミュニケーションを行ってから、その後どうするかアクションを考えましょう。
効率的で計画的なルールを習慣にする
効率的、計画的な行動はルールによってある程度作り出すことが可能です。
具体的なルールは以下の通りです。
1週間単位のルール
- 1週間でやることを大雑把に決めてタスクリストにする
- タスクリストを1週間かけて空の状態にできるよう行動する
1日単位のルール
- 1日のはじめにタスクリストをつくる
- スケジュールはカレンダーで細かく区切り、タスクリストに対して「いつ、何をするか」明確にする
- 急な対応に備えて、余白の時間を作る必要があるため、20%程度は余白時間とする
時間を効率的に使うには、全体を計画立ててから進める意識が非常に大切なのです。ルールの従って行動することで時間に対する成果意識が高まりますので、ぜひご参考にしてください。
集中力を下げない仕組みつくり
集中力を維持することで、仕事のスピード感は劇的に変化します。ダラダラとやるよりも、きっちり意識を向けて仕事をした方が早いのです。
人によって集中力を上げる方法は異なりますが、筆者が実践している集中力を上げるための方法を記載します。
集中力を下げない仕組み
初動作り | 頭を切り替えるための動作を決めます。筆者は手を叩く、即行動と声に出す、などをトリガーとしています。 |
めんどくさい対策 | ルーティンワーク仕事を取り入れて処理することに集中します。その後の仕事も集中力を持つことが可能となります。 |
疲労対策 | 1時間程度である程度集中力が下がるため、トイレに行ったり、体を動かすなど、血流を改善するための簡単な動作を取り入れます。 |
疲労改善 | 稼働時間に応じて疲労が蓄積し集中力が低下します。昼寝をすることで集中力が回復します。 |
リフレッシュ | 音楽を聞いたり漫画を読むことで短時間だけ完全に切り替えます。リフレッシュすることで疲労感が軽減します。 |
上記以外にもその人にあった集中力を下げない仕組みが存在するはずです。ぜひ自分にあった方法を見つけてください。
やらないことを決める
優先順位を付け、重要でないタスクを排除することも重要です。すべてを完璧にこなそうとせず、必要なことに集中することで、効率を上げることができます。「選択と集中」を意識するのです。
例えば、「緊急ではないが重要なタスク」に焦点を当て、それ以外の作業を後回しにすることで、時間を有効に使うことができます。また、定期的に業務内容を見直し、不要なタスクや会議を削減することも重要です。
ボールを極力持たない
業務を抱え込むと、マルチタスクになり、仕事を進める際に様々な脳を使わなければいけなくなります。人間の脳は複数のことを処理するよりも単一のことを処理する方が得意です。
そのため、多くのボールを抱えてしまうこと自体が、仕事を遅くする原因となってしまいます。
なるべく自分に回ってきたボールは即座に処理し、次の人に渡すように心がけてください。自分の手元に仕事がない状態を作ることを極力意識するのです。
ボールをたくさん持ち続けてしまうと、どんどんボールが溜まっていき、仕事が予定通りに進まず、負のループに陥ってしまいます。ボールはすぐに処理することで仕事は劇的に早くなります。
仕事量の把握
自身の仕事量を把握し、進捗を管理することも重要です。
タスク管理ツールを活用し、可視化することで、効率的に進行管理ができます。例えば、TrelloやAsanaといったプロジェクト管理ツールを使ってタスクの進捗を追跡することができます。簡単なものでは、メモ帳でも効果的です。
どうしても仕事を進めていくと、目の前のことに集中してしまいます。ですが、全体量を意識することで、「いつ、何をすればいいか」を考える下地を作ることが可能です。多すぎる量であれば仕事の量を減らすように上長に相談できます。仕事量の管理をぜひ行ってみてください。
達成感を作る仕組み
人は達成感があると、次もその達成感を味わいたくなり、どんどん行動するようになります。小さな成功体験を積み重ねることで、モチベーションを維持しやすくなるのです。
以下に筆者が実践している達成感を作る仕組みについて紹介します。
達成感を作る仕組み
タスク管理表 | できたものからチェックを入れて潰していきます。些細なタスクでも記載することで、たくさんのタスクをこなしていると実感でき、自信につながります。 |
日記 | 毎日寝る前に日記をつけます。日記には、今日やったこと、嬉しかったこと、次に挑戦したいことを記載します。1日やったことを見える化し振り返ることで、明日への活力を醸成します。 |
達成したタスクを視覚的に確認できるようにすることで、モチベーションを維持する効果が期待できますので、ぜひ試してみてください。
メンタルの強化と健康管理
仕事を早くするには精神的な健康が維持されている必要があります。心が疲れていては良い仕事はできません。
メンタルヘルスを意識する
そもそも自分の精神面が健康的かどうか向き合ってください。仕事のスピードを上げるためには、メンタルヘルスの維持が欠かせないためです。
自分の思っていることや感じていることを紙に書く作業を定期的に行いましょう。自分の心の中を出すことを恥ずかしいと思う人がいるかもしれませんが、きちんと向き合うことが何より重要です。
モヤモヤしていることや、どうしたら良いか悩んでいることがあれば、紙に書いて解決方法も記載していきます。頭の中で考えていることも実際に目に見える形で文字にしてみると、意外と悩みと言えるほどのものではなかったりします。
健康的な生活習慣
健康的な生活を心がけましょう。健康的な生活習慣を維持することも、仕事のスピードを上げるために重要です。
筆者は働き詰めの生活を送っていたために、座りすぎて尾てい骨を痛めたり、腰痛を患うなど、体に不調がでてしまったことがあります。体の不調があると、それだけで、仕事のパフォーマンスが落ちてしまうと実感しました。
健康という土台があるからこそ仕事ができると考えましょう。
ひどくありふれた内容になってしまいますが、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を確保することはとても大切です。体調を整え、集中力を高めることに繋がります。
まとめ
本記事では、仕事のスピードが重要な理由、仕事が早い人と遅い人の違い、その理由について探りながら、仕事のスピードを上げるための具体的なテクニックを紹介しました。
繰り返しになりますが、仕事を早くすることはメリットが非常に多いです。筆者自身、これまでのキャリアで最も意識してきたのは「早さ」でした。この「早さ」によって、仕事を獲得し、信頼を構築することができたと実感しています。「早さは正義」だと思っています。
ぜひ、紹介してきたテクニックを実践していただき、楽しく早く仕事をしていただければ幸いです。
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