世の中には2種類のものが存在します。「目に見えるもの」と「目に見えないもの」です。
仕事は複数人で協力し合って進めることが多いと思いますが、「目に見えるもの」と「目に見えないもの」のどちらを共通認識にするとわかりやすいでしょうか。もちろん「目に見えるもの」です。
また、個人で行うタスクも、「目に見えるもの」と「目に見えないもの」では、「目に見えるもの」の方がサクサクと進めることができるでしょう。
つまり、「目に見える」方が何かとはかどるのです。
筆者自身、仕事を見えるようにすることの重要性を非常に実感してきました。共通認識を作り歩幅を揃えるには、見えることがとても大切なのです。そのため、「仕事の見える化」を大きく推奨しています。
本記事では、仕事の見える化について解説していきますので、ぜひマスターしてください。
この記事を読むとわかること
・仕事の見える化の重要性がわかる
・何の仕事を見える化すれば良いかわかる
この記事を書いた人
古川賢人 事業開発.com編集長/株式会社イフビズ代表取締役
事業家、起業家。ベンチャー企業創業および事業開発〜運用、大企業での事業開発〜運用まで経験。世界的経済誌Forbesにてアジアで活躍する30歳未満のリーダー人材(Forbes 30 Under 30 Asia 2021)として選出された他、グッドデザイン賞、日本ギフト大賞、ACC等受賞経験あり。事業開発人材=事業家の働きやすい環境作りや事業家育成が企業成長及び経済成長の鍵と考えている。
仕事の見える化とは
仕事の見える化とは、業務の進行状況や成果を視覚的に把握できるようにすることを指します。具体的には、プロジェクトの進捗状況、個々のタスクのステータス、各メンバーの役割や責任範囲などが含まれます。
人は視覚的に情報を処理する動物ですので、見えるようにすることは、生物の特性上も理にかなっているのです。
情報が急激に増加した現代、多くの情報を効率的に処理することが求められます。特にリモートワークの普及により、物理的に離れた場所でも同じ情報を共有し、業務を円滑に進めるために見える化の重要性が増しています。
見える化は、個人だけでなく、組織全体のパフォーマンスを向上させるための鍵となる考え方なのです。
なぜ見える化が必要なのか
仕事の見える化が必要な理由についても解説していきます。
業務量を把握するため
仕事の見える化を導入することで、各メンバーの業務量を正確に把握することができます。
残念ながら口頭で伝えられた内容では「忙しい」「少し空いている」など、個人の主観による情報となってしまい、正確な業務量の把握が難しいです。
対して、仕事が見える化されれば、誰がどの程度のタスクを処理しているのか、また、どの程度の処理能力を有しているのか、客観的に理解することができます。
例えば、タスク管理ツールを使用すれば、各メンバーのタスクが一覧で表示され、誰がどのタスクにどれだけの時間を費やしているかが明確になります。業務のバランスを保ちやすくなり、負荷が偏っている場合は適切なタスクの再分配が可能となります。
品質を上げるため
業務の進行状況を見える化することで、品質の向上が期待できます。チェックリストやレビューシステムを導入することで、業務の各段階で必要な確認事項を漏らさずに実行できるようになるのです。
また、見える化されたデータを基に品質管理が容易になり、ミスを未然に防ぐことができます。例えば、製造業では品質管理のプロセスを見える化することで、製品の品質を一貫して保つことができるのです。
生産性の向上のため
生産性を向上させるためには、各メンバーが効率的に働ける環境を整えることが重要です。見える化によって業務の流れや進行状況が明確になるため、無駄な作業や重複作業を削減でき、生産性が向上します。
例えば、プロジェクト管理ツールを使えば、タスクの進行状況が一目でわかるため、次に取り組むべき作業が明確になり、業務のスピードが向上します。また、リアルタイムでの状況把握により、問題発生時の迅速な対応が可能になります。
成果を評価するため
見える化によって、各メンバーの成果が客観的に評価できるようになります。これにより、公平な評価が可能となり、モチベーションの向上にも繋がります。
KPIを設定し、その達成度を見える化することで、個々の成果が数値で示されるため、評価が容易になります。評価基準が明確になると、チーム全体の目標達成に向けた意識が高まりますし、組織全体のパフォーマンスが向上することも期待できるのです。
見える化のメリット
仕事を見える化することでどんなメリットがあるかみていきましょう。
業務量を把握できる
見える化を行うことで、業務量が一目で把握できます。個人であれば自分の業務量、マネージャーであればメンバーの業務量を把握できます。
業務量の把握は、仕事を時間内で終わらせたり、どの順番で仕事をするか計算することに非常に役立ちます。全体の総量がわかることで、その後の処理が劇的に変化するのです。
遅延やタスク漏れ防止
タスクの進行状況が視覚的にわかるため、遅延やタスク漏れの防止にも繋がります。仕事におけるミスとして遅延やタスク漏れはよくあることですが、きちんと仕事の状況が見える化されていれば、そのミスを減らすことができるのです。
例えば、ガントチャートを使用すれば、各タスクの開始日と終了日が一目でわかり、遅延のリスクを事前に察知することができます。また、タスクの優先順位を明確にすることで、重要なタスクが後回しにされることを防ぐことができます。
属人化させない
業務の見える化により、特定の人物に依存しない体制を構築することが可能です。業務に必要な情報を共有することで、誰でも業務を引き継ぐことができるようになります。
体調不良や会社をやめてしまう人がいても、柔軟に対応できるようになります。特定のメンバーが不在の場合でも、業務が滞ることなく進行します。
認識統一
チーム全体で同じ情報を共有することで、認識のズレがなくなり、スムーズなコミュニケーションが可能となります。
プロジェクト管理ツールを使えば、全員が同じ情報をリアルタイムで確認できるため、無駄な会議ややり取りを減らすことができます。認識のズレがなくなることで、チーム全体のパフォーマンスが向上し、効率的な業務運営が可能になります。
仕事で見える化した方が良い項目
仕事の中でも何から何まで見える化する必要はありません。見える化すること自体に時間をかけすぎては、逆に効率が落ちてしまうからです。以下に記載する項目内容を見える化するように心がけてください。
業務フロー・オペレーション
業務の流れやオペレーションを視覚化することで、全体像が把握しやすくなります。
例えば、業務プロセスの各ステップを図で示すことで、どの段階でボトルネックが発生しているかを特定しやすくなります。また、業務フローの見える化により、改善点を見つけやすくなり、業務の効率化が図れます。
ナレッジ・ノウハウ
ナレッジベースを構築し、必要な情報を誰でも簡単にアクセスできるようにします。例えば、社内Wikiやドキュメント管理システムを導入することで、業務に必要な情報を一元管理できます。
ナレッジ・ノウハウの見える化により、新人の教育やスキルアップが効率的に行えます。
タスク一覧
タスク管理ツールを利用して、各メンバーのタスクを一覧で管理します。例えば、TrelloやAsana、Backlogを使えば、各タスクの進行状況や優先順位が一目でわかります。
タスク一覧の見える化により、各メンバーの業務負荷を適切に調整し、効率的な業務運営が可能になります。
スケジュール
プロジェクトのスケジュールをガントチャートなどで視覚化し、進行状況を一目で把握できるようにします。当たり前ですが、スケジュールを守ることは仕事の上で非常に重要です。
例えば、Microsoft ProjectやWrikeを使えば、プロジェクト全体の進捗をリアルタイムで確認できます。
スケジュールの見える化により、遅延を防ぎ、プロジェクトを計画通りに進行させることができます。
スキル
各メンバーのスキルを見える化することで、適材適所の配置が可能となります。
例えば、スキルマトリックスを作成し、各メンバーのスキルを一覧で管理することで、プロジェクトに最適なメンバーを選定することができます。
スキルの見える化により、組織全体のスキルレベルを把握し、必要なトレーニングや教育を効率的に計画できます。
見える化の成功ポイントと課題
成功のポイントとしては、見える化の目的を明確にし、適切なツールを選定することです。ツールを使うことで効率化できますので、目的に応じたものを選定してください。
課題としては、ツールの使いこなしや定着までに時間がかかることが挙げられます。また、見える化に対する抵抗感を持つ従業員への対応も重要です。
見える化を成功させるためには、見える化の導入が組織全体にとってどれだけ重要であるかを理解し、全員が協力する姿勢を持つことが必要です。
最初は面倒だと思う人が多いでしょう。ただ、見える化が習慣化されることで、劇的に仕事が改善します。
まとめ
仕事の見える化について解説してきました。
見える化の重要性についてもしご理解いただけたなら、目的を明確にしてぜひ実践しましょう。仕事を見える化することで、劇的に効率が上がり、チームの連携も実行しやすくなるはずです。
事業開発.comは、事業を担う事業家の輝く未来を応援するためのメディアですので、よろしければ他の記事もご覧ください。