新規事業立ち上げに必要な13のスキル

新規事業立ち上げに必要な13のスキル

新規事業を作る際には様々なスキルセットが必要です。理由は明確で「やることが非常に広範」だからです。

既存事業とは異なり、新規事業では、当たり前ですが実績がない状態です。実績がないということは過去のデータがないことを指します。そのため、「とりあえずやってみる」手探り感覚で事業立ち上げを進めることが多いのです。

いかにして、経営資源を有効活用し、チームのモチベーションを維持しながら事業を立ち上げることができるか…その手腕を問われるのが、新規事業立ち上げなのです。

すでに新規事業の勝ちパターンを把握している方は読む必要がない内容です。しかし、新規事業に必要なスキルについて理解することで成功確率をあげたい人はぜひ目を通してみてください。

この記事を読むとわかること

・新規事業に必要なスキルや能力がわかる

この記事を書いた人

古川賢人

古川賢人 事業開発.com編集長/株式会社イフビズ代表取締役
事業家、起業家。ベンチャー企業創業および事業開発〜運用、大企業での事業開発〜運用まで経験。世界的経済誌Forbesにてアジアで活躍する30歳未満のリーダー人材(Forbes 30 Under 30 Asia 2021)として選出された他、グッドデザイン賞、日本ギフト大賞、ACC等受賞経験あり。事業開発人材=事業家の働きやすい環境作りや事業家育成が企業成長及び経済成長の鍵と考えている。

目次

そもそも新規事業開発とは

新規事業開発とは、その名の通り、新たな事業を立ち上げることを指します。市場のニーズを把握し、新しい製品やサービスを企画・開発し、それを市場に投入するまでの一連の活動が含まれます。

筆者は成功する新規事業開発では「戦略を立ててポジションを獲得すること」が最も重要だと考えています。その実現には、多様なスキルと能力が必要なのです。

新規事業に必要な13のスキル

新規事業に必要な13選のスキル
新規事業に必要な13選のスキル

新規事業は、既存事業の運営や推進とは異なるスキルセットが必要になります。既存事業で成功してきた経験を持つ人でも、新規事業を成功させるのは至難の業。

ですが、だからこそ必要スキルをきちんと理解することで、事業立ち上げの成功確率をあげることができると考えます。具体的にみていきましょう。

1.リサーチスキル

新規事業を立ち上げるには、市場や顧客ニーズを正確に把握するためのリサーチスキルが必要です。これにより、競合他社との差別化や市場のニーズを見つけることができます。

具体的には、定量調査や定性調査を駆使して、ターゲット市場の特性や消費者行動を深く理解することが求められます。また、最新の業界トレンドやテクノロジーの進化をキャッチアップすることも重要です。

情報は集めすぎても損はないため、より広範な視野でリサーチできる人は新規事業立ち上げに必須の存在です。

2.分析スキル

市場データや顧客データを分析し、適切な意思決定を行うための分析スキルが必要です。データに基づいた判断が事業の方向性を正しく導きます。

データ分析には、定量データの統計解析だけでなく、顧客インタビューやフォーカスグループを通じた定性データの解釈も含まれます。

分析観点で深い洞察を得ることで、事業の方向性を決める指針を作ることが可能です。

3.アイデア力・企画力

新しい事業を成功させるためには、独創的で実現可能なアイデアを生み出し、それを具体的な計画に落とし込む企画力が重要です。必ずしも革新的である必要はありませんが、現実的なラインを見極めた上で他社との差別化まで言語化できる企画力が求められます。

市場調査の結果を踏まえた上で、具体的な事業モデルや収益構造を考えることが必要です。

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4.課題発見スキル

新規事業開発では、潜在的な課題を早期に発見し、それに対処する能力が求められます。

アイデア力・企画力では革新的な思考を使うケースが多いですが、課題発見スキルは保守的な思考です。攻守のバランスをうまく取ることで、事業の実現可能性が一段と増すのです。

5.戦略立案能力

新規事業の成功には、明確なビジョンと戦略が不可欠です。戦略立案能力により、事業の方向性を定め、目標達成に向けた計画を策定します。

これまで記載してきたリサーチ、分析、アイデア、課題発見のスキルを統合して、戦略案をまとめましょう。

効果的な戦略案を作る際は、フレームワークを活用しましょう。SWOT分析やPEST分析といったフレームワークを用いて、外部環境と内部資源を総合的に評価することで、戦略要諦が強固になります。

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6.資料作成能力

事業計画書やプレゼンテーション資料など、説得力のある資料を作成する能力が必要です。

素晴らしい事業内容を作成できたとしても、その内容をきちんと周囲の期待値をあげながら情報伝達する必要があります。社内外のステークホルダーを効果的に説得するためには、わかりやすく説得力のある資料が必要なのです。

資料作成には、論理的な構成と視覚的なインパクトを両立させるスキルが求められます。特に、複雑な情報をわかりやすく整理し、視覚的に伝えるためのデザインスキルも重要です。

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7.プレゼンテーションスキル

新規事業のアイデアや計画を他者に伝えるためのプレゼンテーションスキルも重要です。効果的なプレゼンテーションは、協力者を集め、賛同を得るために非常に重要です。

プレゼンテーションスキルは、単に話す能力だけでなく、聴衆を引き込むためのストーリーテリングや、話し方、振る舞い方、資料の効果的な活用も含まれます。プレゼンの目的に応じて、内容や方法を柔軟に変えることが必要です。

プレゼンは準備が9割

プレゼンテーションはいかに準備を入念に行い、あらゆる事態を想定して対応策を講じられるかが重要です。かのスティーブ・ジョブスもプレゼン準備を入念に行っていたことは有名です。プレゼンを行う際は、ギリギリまで資料作成するのではなく、プレゼンの場面でどのように魅力的に伝えることができるか考えることに時間を費やしましょう。

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8.コミュニケーション能力

新規事業はチームで作り上げたり、社内外の人を巻き込んで推進しますので、コミュニケーション能力も重要です。細分化して記載します。

8-1.認識統一力

コミュニケーションの基本は認識を統一することです。チームメンバーや関係者と円滑にコミュニケーションを図り、共通の理解を持つための認識統一力が求められます。

相手が誰であっても、自分の考えたことを相手に理解してもらうことが重要です。認識統一力とは、プロジェクトの目標や進行状況を全員が同じ認識で共有するために必要なスキルなのです。

専門用語は使わない

社内や部署だけの特別な用語=専門用語はなるべく使用しないようにしましょう。もちろん一部のメンバーでコミュニケーションを取る際は問題ないですが、「説明コストがかかる単語を使うこと」自体がコミュニケーション上の課題となります。できるだけ一般用語を用いたコミュニケーションとすることが大切です。

8-2.人を巻き込む能力

新規事業を成功させるためには、多くの人を巻き込み、協力を得る能力が必要です。

人を巻き込む能力は、単に協力を求めるだけでなく、相手のモチベーションを高め、主体的に動いてもらうためのエンゲージメントスキルも含まれます。

9.マネジメントスキル

マネジメント=管理する能力についても説明していきます。

9-1.プロジェクトマネジメントスキル

プロジェクトの進行管理やリソースの最適化を行うためのプロジェクトマネジメントスキルが求められます。

プロジェクトマネジメントスキルには、タイムマネジメントやリスク管理、品質管理などが含まれます。これにより、プロジェクトを予定通り進めることが可能となります。

9-2.ヒューマンマネジメントスキル

チームメンバーのモチベーションを高め、効果的に指導する、ヒューマンマネジメントスキルも重要です。

ヒューマンマネジメントスキルでは、チームビルディングを行い、チームメンバー一人一人から信頼を得ることが重要です。これにより、チーム全体のパフォーマンスを最大化することができます。

10.リーダーシップ

チーム全体の士気を高め、目標に向かって導くリーダーシップが必要です。

リーダーシップは、個々のメンバーが自発的に目標に向かって動くための内的動機づけを促進するスキルです。リーダーとしてのビジョンを共有し、信頼関係を築くことが重要です。

また、リーダーシップにも多様な種類がありますので、以下を参考にしてください。

リーダーシップタイプ特徴メリットデメリット適用シーン
オーソリタリアン(独裁型)指示や命令を一方的に出し、メンバーに従わせる決断が早く、明確な指示が出せるメンバーのモチベーションが下がりやすい、創造性が抑制される緊急時や危機的状況、軍隊など
デモクラティック(民主型)メンバー全員の意見を取り入れて意思決定を行うメンバーの意見が反映されるため、チームの士気が高まる意思決定に時間がかかる、全員の意見をまとめるのが難しいチームの意見が重要なプロジェクト、コラボレーションが求められる場面
ラッセフェール(自由放任型)メンバーに大きな自由を与え、自主性に任せるメンバーの創造性と自発性が促進される方向性が不明確になりやすい、管理が不足することがあるクリエイティブな職場、専門知識が高いチーム
トランスフォーメーショナル(変革型)ビジョンを共有し、メンバーを動機付けて変革を促すチームのモチベーションとパフォーマンスが向上する実行力や具体的な管理が不足する場合がある大規模な変革が必要な場面、企業の成長期
トランザクショナル(取引型)明確な目標と報酬、罰則を設定し、成果に基づいて管理する目標達成に向けてメンバーが集中しやすいモチベーションが報酬に依存しやすい、柔軟性が欠ける目標が明確で短期的なプロジェクト、業績重視の環境
サーバント(奉仕型)リーダーがメンバーのサポートに徹し、成長を促すメンバーの信頼と敬意を得やすい、チームワークが強化されるリーダーシップが見えにくくなることがあるメンバーの成長が重要な場面、教育的環境
コーチング(指導型)メンバーの個々の能力開発に焦点を当てる長期的な成長とスキル向上が期待できる短期的な成果が出にくい、時間がかかるスキル開発が重要な場面、育成が重視される環境
ビジョナリー(先見型)明確なビジョンを提示し、未来に向けた道筋を示す長期的な方向性が明確になり、チームが一丸となる実行段階での具体的な指示が不足することがある大規模なプロジェクト、戦略的な方向転換が必要な場面
パーシペイティブ(参加型)メンバーが意思決定に積極的に参加できる環境を作るメンバーのエンゲージメントが高まる、意見が多様に反映される意思決定に時間がかかる、全員の意見をまとめるのが難しいチームの意見が重要なプロジェクト、コラボレーションが求められる場面

11.ロジカルシンキング

論理的な思考能力を持つことで、問題解決や意思決定の質を高めることができます。

ロジカルシンキングは、課題を整理し、論理的に解決策を導き出すプロセスを指します。これにより、複雑な問題をシンプルに解決することが可能となります。

12.コスト管理スキル

コストを適切に管理し、収益性を確保するためのスキルが必要です。

コスト管理スキルには、予算策定やコスト削減、原価管理などが含まれます。これにより、事業の健全な財務状況を維持することができます。

新規事業の予算について

新規事業の予算は大抵の場合予想通りになりません。優れた企業の既存事業では、予算に対して誤差数パーセントで着地させますが、新規事業は予算通りにいかないことがほとんどです。そのため、予算のタームを細かく区切り、タームごとに予算のバランスを見直すことが重要です。

おすすめは3ヶ月ごとに見直し、事業スピードに合わせて、適切な調達やコストカットを行いましょう。

13.マーケティングスキル

市場の動向を把握し、効果的なマーケティング戦略を立案する能力も重要です。いかにして認知を獲得し、買ってもらうかを考えなければ、売上は立ちません。

売上を構築し、倍増させるためにはマーケティング的観点は必須です。市場動向、ユーザーニーズ、新規事業の強みをきちんと把握した上で、適切な施策実行を行えれば結果がついてくるはずです。

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新規事業に必要なスキル・能力を身につける方法

新規事業に必要なスキル・能力を身につける方法
新規事業に必要なスキル・能力を身につける方法

多様なスキルを紹介してきました。最後に、新規事業に必要なスキルや能力をどのようにして身につけることができるかについて解説していきます。

現場で学ぶOJT

新規事業に必要なスキルは、実際の現場で学ぶことが最も効果的です。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて、実践的な経験を積むことが重要です。

OJTでは、実際の業務を通じてスキルを磨きながら、フィードバックを受けることで、より効果的に学習が進みます。新規事業立ち上げのプロジェクトにメンバーとして参画することが最も学びの機会になるでしょう。

情報収集し続ける

情報収集をし続ける意識が重要です。新規事業の成功可否に必要な業界動向や最新のビジネストレンドを常に把握するだけでなく、事業自体を推進させるためのスキル獲得のための情報収集が必要です。

多様な人とコミュニケーションを取る

自分では知り得ないことにヒントが隠れているケースがあります。最も有効的な方法は、すでに経験している「経験者」とコミュニケーションを行うことです。自分では気づくことができなかった観点や考え方を獲得できるでしょう。

また、ネットワーキングや業界セミナーへの参加も有効です。他の専門家や同業者との交流を通じて、最新の知識やノウハウを得ることができます。

新規事業に向いている人

新規事業に向いている人は、チャレンジ精神旺盛で、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する姿勢を持っています。また、柔軟な思考力と強いリーダーシップを兼ね備えた人物が、新規事業を成功に導くことができます。

すべての人に向いている特性ではないかもしれませんが「何か新しいことを成し遂げたい」という強い思いがあれば、新規事業を志す大きな理由になることでしょう。

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まとめ

新規事業の立ち上げは、企業にとって大きな挑戦であり、成功への道のりは決して平坦ではありません。しかし、必要なスキルと能力を身につけることで、その成功確率を格段に高めることができます。

リサーチスキルやアイデア力、分析スキルなど、数多くのスキルが求められます。一方で、実際の現場での経験や情報収集を通じてこれらのスキルを磨くこともできます。ぜひスキルや能力が不足していると感じている人は現場に飛び込んでみてください。

筆者自身、現場に飛び込み、現場感を知る中で、結果として必要なスキルを獲得してきました。人は残念ながら経験しないと想像すらできないことも多いので、「やってみたい」と思ったら「行動」することが大切なのです。

必要なスキルは必要条件ではなく、十分条件です。ただ、たくさん保有している方が成功確率が上がるはずです。ぜひ、スキルを身につけて新規事業を成功に導いてくださいね。

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この記事を書いた人

古川 賢人のアバター 古川 賢人 事業開発.com編集長/株式会社イフビズ代表

事業家、起業家。ベンチャー企業創業および新規事業開発〜運用、大企業での新規事業開発〜運用まで経験。世界的経済誌Forbesにてアジアで活躍する30歳未満のリーダー人材(Forbes 30 Under 30 Asia 2021)として選出された他、グッドデザイン賞、日本ギフト大賞、ACC等受賞経験あり。事業開発人材=事業家の働きやすい環境作りや事業家育成が企業成長及び経済成長の鍵と考えている。

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