【新規事業開発フレームワーク完全ガイド】アイデア出しから市場導入、振り返りまでを徹底解説!

なるべく楽で簡単に儲かるビジネスを作りたい!」と思うことは、傲慢でしょうか。

筆者は明確にNOと答えます。「楽して稼ぎたい!」と考えるのは、むしろ合理的な考え方です。ビジネスは結果を求める活動であって、その過程が楽であろうとなかろうと、どちらでも構わないと考えるからです。つまり、楽に結果を出せた方が良いに決まっていると思うのです。

…とは言いましても、新規事業を立ち上げる「新規事業開発」は、非常に難易度が高く「センミツ(1000に3つしか成功しない)」と言われる領域です。世の中にないものを作り出すわけですから、お客様が買ってくれるかどうかはやってみないとわからないのです。新規事業開発は「楽ではない」領域なのです。

ただし、ビジネスの考え方の「型」=「フレームワーク」を身につけることで、少しでも成功確率をあげることができます。先人たちの知恵、いうなれば歴史の積み重ねの中で見出されてきたビジネスの真髄がフレームワークには詰まっているのです。

この記事では、特に新規事業開発に活用できるフレームワークについて網羅的に紹介していきます。「楽して稼ぎたい」「ビジネスを効率よく進めたい」という言葉に直感的に惹かれた方はぜひご一読ください。

この記事を読むとわかること

・新規事業開発のフレームワークがわかる

・効率よくアイデア出し〜実行、振り返りすることができる

・新規事業立ち上げの成功確度を上げられる

この記事を書いた人

古川賢人

古川賢人 事業開発.com編集長/株式会社イフビズ代表取締役
事業家、起業家。ベンチャー企業創業および事業開発〜運用、大企業での事業開発〜運用まで経験。世界的経済誌Forbesにてアジアで活躍する30歳未満のリーダー人材(Forbes 30 Under 30 Asia 2021)として選出された他、グッドデザイン賞、日本ギフト大賞、ACC等受賞経験あり。事業開発人材=事業家の働きやすい環境作りや事業家育成が企業成長及び経済成長の鍵と考えている。

目次

フレームワークとは?

フレームワークについて
フレームワークについて

そもそもフレームワークとはなんでしょうか。

空手にも野球にもサッカーにも、あらゆるスポーツには「型」があります。また、数学や物理学では方程式という「型」があります。それ以外にも哲学や思想などの考え方にも「型」があります。

つまり、フレームワークとは「一度身につけてしまえば、普遍的に用いることが出来る考え方」を指します。

特にビジネスにおいては、アイデア出し、優先度判断、戦略立案…などあらゆる場面にて用いることが可能です。フレームワークとを身につけることで、「楽」「簡単」「効率」を実現することができるのです。

フレームワークを扱う際の注意点

フレームワークを扱う際の注意点
フレームワークを扱う際の注意点

フレームワークを扱う際にはいくつかの前提がありますので、具体的に見ていきましょう。

フレームワークの使い所を間違えない

想像してください。空手の「型」を、野球のピッチングの時に使ったらどうでしょうか。連立方程式という「型」をサッカーのPKのタイミングで使ったらどうでしょうか。どちらも残念ながら失敗の絵が浮かんできます。「型」の使い所を間違えていると直感的にわかるはずです、

フレームワークは使い所を間違えると機能するどころかパフォーマンスを落としてしまうのです。フレームワークを知ったとしても、想定とは異なる利用シーンで活用した場合、その効果は無くなってしまいます。

フレームワークは万能ではない

フレームワークは万能ではありません。フレームワーク通りに対応したからと言って、絶対に成功するわけではありません。どんなに空手の型を完璧に身につけた達人であっても、完璧に型を身につけていない空手家に対人戦で負けてしまうこともあるでしょう。ビジネスフレームワークも全く同じです。

あくまでフレームワークは、問題解決を効率的で楽にするものです。型を「どのように使いこなすか」は人次第なのです。

フレームワークは組み合わせてこそ効果を発揮する

フレームワークは1つだけで絶大な効果を発揮するかといえば、そうではありません。もちろんフレームワークを使ったほうが、効率的で楽に思考の整理ができます。ですが、複数のフレームワークを組み合わせて活用した方が効果的です。

フレームワークは良い面がある一方で、ひとつの型ではカバーしきれない領域も含んでいます。例えば野球でも、投げ方、打ち方、捕り方、走り方などの型を身につけてやっと一人前になることができます。つまり、使い所が型によって異なるため、活用シーンに合わせて組み合わせることを前提にしたほうが賢い選択と言えるのです。

さて、前置きが長くなりましたが、具体的なフレームワークをみていきましょう。

新規事業開発のフレームワーク

新規事業のフレームワークを具体的にみていきましょう。ビジネス構想の段階から、サービスローンチ後に活用できるフレームワークをまとめてご紹介します。以下の順序でご紹介してまいりますので、気になるところから読み進めてくださいね。

A:アイデア出し→B:調査→C:優先度付与→D:戦略立案→E:実行→F:振り返り

A:アイデア出しのフレームワーク

A-1:アセット×領域セグメント思考

アセット×領域セグメント思考
アセット×領域セグメント思考の図

アセットと業界領域をベースとした思考方法です。自社のアセットと業界領域を別の場所に転換した場合どのような事業が考えられるか、という視点になります。

アセット:資産=人、システムなどの資産を指します。領域:業界、サービス領域を指します。

①既存アセット×既存領域

最も成功確率が高い。できればここを伸ばすことに再注力した方が良い領域

②既存アセット×新規領域

2番目に成功確率が高い。既存アセットを横展開できる業界や領域。

③新規アセット×既存領域

3番目に成功確率が高い。領域内で新規のポジショニングを行うケース。競合の強さによって、成功確率が大きく変わる。

④新規アセット×新規領域

最も成功確率が低い。未知の領域であるため、事業計画数値の蓋然性が低く、企画で倒れることも多い。

新規事業は冒険することが目的ではないため、①既存アセット×既存領域や②既存アセット×新規領域のような、なるべく成功確度の高い事業立ち上げをベースにしてアイデア出しをしてみてください。

アセット×領域セグメント思考のやり方

STEP
アセットと領域を洗い出す

・自社のアセットと考えられる事業領域/業界を洗い出しましょう

STEP
アセットと領域の掛け合わせを作る

・STEP1で洗い出した内容を掛け合わせてみましょう

・自社の強みと自社の強い領域(既存アセット×既存領域)を中心に検討すると成功確度の高い事業構想が可能です

A-2:マインドマッピング

マインドマッピング
マインドマッピングの図

マインドマッピングは、アイデアや概念を視覚化する手法です。中心概念から放射状に枝分かれする形で情報を整理します。アイデアを構造化し、関連付けるのに特に有効です。

マインドマッピングでは、自分の立場や実現可能性などの思考の制限を設けないことが重要です。自由にアイデアを出しましょう。全ての制限を開放し、考えたことを芋蔓式に網羅化することができるので、ロジカルに考えてもひらめかないようなアイデアが出る方法です。

1~2時間集中してマインドマッピングをするだけで、かなり思考の幅が広がるはずです。そのため、頭のストレッチにもお勧めです。マインドマップツールもたくさんありますので、ぜひ調べてみてください。

マインドマッピングのやり方

STEP
 中心にテーマを記載する

・アイデアのテーマを中心に記載します

STEP
テーマから派生する言葉を自由に書き出す

・中心のテーマから派生する言葉を自由に書き出します

・自由に発送することが重要ですので、「できない」「実現不可」などの制限を設けずに書き出しましょう

A-3:ブレインストーミング

ブレインストーミング
ブレインストーミングの図

ブレインストーミングは、新しいアイデアや解決策を自由にかつ迅速に生み出すための手法です。一人ではなくチームやグループで実行します。

具体的には、人を収集し、会議を設けて、「〇〇領域における新規事業アイデア」のようなアジェンダを設定します。そこからは、自由に発散することだけに焦点を絞りましょう。

発散的思考を存分に発揮することで、マインドマッピングのような一人では考え付かなかったようなアイデアも出るようになります。また、ブレインストーミング自体が「楽しい」活動と評価されるため、チームビルディングにも活用できます。

ブレインストーミングのルール

・量を重視する: アイデアの質よりも量を優先し、多くのアイデアを生み出すことを目指しましょう

・批判を避ける: 初期段階では批判や評価を行わず、あらゆるアイデアを受け入れます。

・自由奔放に発想する: 通常では考えられないような、創造的で斬新なアイデアの提案を奨励します。

・アイデアの組み合わせ: 提案されたアイデアを組み合わせたり、改善したりして、新たなアイデアを生み出します。

ブレインストーミングのやり方

STEP
会議体を設定する

・会議を設定しましょう。なるべく多様な人材が集まるようにしてください。

STEP
テーマ設定に応じて自由に議論する

・会議のテーマに沿った形で、自由に議論してください。思考の制限をしないことが重要です。

・紙に書き出したり、付箋を活用するなど、見える化することで議論を促進することが可能です。

STEP
議論をまとめる

・発表されたアイデアをグルーピングしたり、カテゴリ分けし、議論の成果をまとめます

A-4:SCAMPER

SCAMPER
SCAMPERの図

SCAMPERは質問の頭文字をとったリストです。アイデアを発展させるための質問リストで、各文字が特定の思考プロセスを表しています。

思考プロセスの複数の型を身につけるだけで、考え方の幅が広がります。SCAMPERをアジェンダにしてブレインストーミングするなども有効です。

項目説明
1. Substitute (代替する)質問: 何かを別のもので代替できるか?
例: ソフトクリームのスプーンを、プラスチック素材からコーン素材に代替する。
2. Combine (組み合わせる)質問: 異なる要素を組み合わせることはできるか?
例: 時計に血圧計を組み合わせて、スマートウォッチにする。
3. Adapt (適応させる)質問: 既存のアイデアを新しい状況に適応させることはできるか?
例: 古い学校をアートギャラリーやコワーキングスペースとして利用する。
4. Modify (変更する)質問: 何かの形状、形式、または属性を変更できるか?
例: 従来の冷蔵庫を変更して、食品の鮮度を色で示すスマート冷蔵庫にする。
5. Put to another use (別の用途に置きかえる)質問: 既存の製品やサービスを全く新しい用途で使用できるか?
例: キッチンの計量カップを園芸用の水やりカップとして使用する。
6. Eliminate (排除する)質問: 不要な部分を取り除くことはできるか?
例: リモートコントロールから余分なボタンを排除して、ユーザーインターフェースをシンプルにする。
7. Reverse (逆転する) / Rearrange (再配置する)質問: プロセスや順序を逆にできるか、または再配置できるか?
例: 通常は最後に行われる顧客フィードバックを、製品開発プロセスの初期段階に組み込む。

SCAMPERのやり方

STEP
SCAMPERの表を作る

・SCAMPERの頭文字ごとに内容を記載できる表を作成します

STEP
検討したいテーマを洗い出す

・アイデアテーマを洗い出します。複数のアイデアテーマを検討した方が比較検討がしやすいです。

STEP
検討したいテーマをSCAMPERの表に沿って書き出す

・SCAMPERに従って、検討内容を自由に書き出します

A-5:6W2H

6W2H
6W2Hの図

6W2Hは、「Who(誰が)」「Whom(誰に)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「How(どのように)」「How much(いくらで)」の8つの視点でアイデア出しをする方法論です。

かなり汎用的に応用が可能なフレームワークとなっており、アイデア出し以外にも、情報の整理やヒアリングなど、あらゆるビジネスシーンで活用ができます。多面的に考えることが必要な場面でぜひ活用してください。

6W2Hのやり方

STEP
テーマを設定する

・アイデアのテーマを設定します

STEP
テーマを中心に、6W2Hに回答する

・テーマに対して、6W2Hの項目ごとに回答します。回答は1つではなく、複数の回答でもOKです

A-6:ロジックツリー

ロジックツリー
ロジックツリーの図

ロジックツリーは「Why(なぜ)」に特化した思考方法です。お題を決めて、お題に対して、網羅的に要素分解していきます。ロジックツリーは抽象化されたお題に対して、Whyを考えていくことで現実的で具体的な回答を導き出すことができます。

情報を抽象的なものから具体的なものへと変換していく方法ですので、具体/抽象思考を強化したい人にとってはトレーニングツールとしても活用できます。

ロジックツリーのやり方

STEP
抽象的なテーマを設定する

・抽象的なテーマをロジックツリーの頂点に設定します

・アイデア出しに活用するので「環境問題が発生している」「Webと農業を組み合わせた取り組みが少ない」のような漠然としたテーマ設定で問題ありません

STEP
テーマに対して「Why」と投げかけ、関連要素を記載する

・テーマに対して「Why=なぜ」を問いかけます。考えられる原因を記載し、ツリーを樹形図状にしていきます。

STEP
関連要素を細分化する

・「Why」の問いかけを掘り下げていき、樹形図をどんどん枝分かれさせてください。

・「Why」を何度も繰り返し、細分化できない具体的なアイデアまで記載しましょう

A-7:マンダラート

マンダラート
マンダラートの図

大谷翔平選手が高校時代に使っていたことでも有名なマンダラート。マス目状のフレームの中心にテーマを設定し、そこから連想されるアイデアを周囲のマスへと記載していきます。マス目の数が膨大なため、アイデアを強制的に出す訓練にもなります。

マンダラートは無限にアイデア出しと深掘りが可能な方法ですので、81マスからもっと拡張することも可能です。

マンダラートとは仏教に登場する曼荼羅(マンダラ)模様に由来しています。曼荼羅とアートを組み合わせた造語でマンダラートと呼ばれます。

マンダラートのやり方

STEP
中心のキーワードを設定する

・中心にテーマやキーワードを設定します

STEP
連想されるキーワードを書き出す(8マス)

・中心に書いたキーワードから連想されるキーワードを周りの8マスに記載しましょう

・8個以上出た場合は優先度を付与し、上位の8つに絞り込んでください

STEP
連想されるキーワードを書き出す(81マス)

・連想されるキーワードをさらに書き出します

A-8:AI活用

AI活用
AI活用の図

AIにアイデアを投げかけたり、AIにアイデアを出してもらう方法です。一人で無限に思考できるので、短時間でアウトプットの質を高めたい時に効果の高い方法です。AIは、提供された情報に基づいて回答するため、質問をより具体的にすると精度が上がります。

生成AIのレベルは日々進化していますので、初めて使われる方はアウトプットの質の高さと膨大なアイデア量に驚かれるかもしれません。AIを有効に活用することができれば、相当効率的で楽にビジネスを推進できるでしょう。

AI活用のやり方

STEP
生成AIツールを用意する

・ Chat GPTなどの生成AIツールを用意しましょう

STEP
質問を投げかけ、会話する

・生成AIに質問を投げかけましょう。深掘りしたい内容は「なぜ」や「もう少しアイデアを広げて」のように会話しましょう

B:市場/顧客分析のフレームワーク

アイデアの種が見つかったら、アイデアの実現可能性について検討していきます。そのためには、市場や顧客について見える化する必要があります。新規事業開発に必要な市場/顧客分析のフレームワークについて解説していきます。

B-1:PEST分析

PEST分析
PEST分析の図

PEST分析は、特に外部要因を分析するのに役立つフレームワークです。「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の頭文字をとってPEST分析と言います。

広範囲の外部環境を検討するフレームワークですので、分析対象となる地域や市場を明確化した上で実施しましょう。

PEST分析のやり方

STEP
外部環境として影響がありそうな要素を書き出す

・「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の各要素と関連のありそうな情報を書き出します

・短期的視点、中長期的視点で書き出すように意識しましょう

STEP
要素を整理する

・洗い出した要素をPESTの表に合わせて整理しましょう

ヒントとなるキーワード

政治(Politics)政治の安定性、選挙サイクル、税制、労働法、環境規制、貿易制限、関税、補助金、資金援助、技術開発支援など
経済(Economy)GDP成長率、失業率、インフレ率、消費者信頼感、通貨変動、金融政策、金利レベル、資金調達など
社会(Society)年齢構成、人口増減率、平均寿命、ライフスタイルの変化、家族構造の変化、余暇活動の傾向、文化的価値観、言語など
技術(Technology)新技術の登場、技術発展の速度、研究開発、通信インフラ、物流システム、エネルギー供給状況、技術基準、安全規格、特許法など

B-2:ファイブフォース分析

ファイブフォース分析
ファイブフォース分析の図

ファイブフォース分析とは「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」「業界内の競争」「新規参入者の脅威」「代替品の脅威」の切り口を活用した分析手法です。

業界の構造や魅力などを分析する際に活用しますが、要因の状況が極めて強かったり要素が非常に多い場合は、いわゆるレッドオーシャンである業界といえます。業界の競争力を分析したい時に活用しましょう。

買い手:自社の商品やサービスを購入してくれるお客様。新規事業でいない場合はわかる範囲で記載しましょう。
売り手:商品やサービスを提供するために必要な仕入れ先

ファイブフォース分析のやり方

STEP
分析対象の定義

・分析対象の業界やアイデアなどを定義します

STEP
各フォースの分析

・買い手の交渉力:買い手の集中度、情報の透明性、製品の標準化度など、買い手が価格や条件を左右する力を分析します。

・売り手の交渉力:供給者の集中度、製品の独自性、供給者にとっての代替市場の存在などを通じて、供給者が業界に対して持つ力を評価します。

・業界内の競争:競争の激しさや競争の根本原因を評価します。競争が激しいほど、価格競争が起こりやすく、利益率が低下しやすくなります。

・新規参入者の脅威:新規参入の障壁(資本要件、規模の経済、規制など)と新規参入が現在の競争者に与える影響を分析します。

・代替品の脅威:代替品の存在とそれが業界の製品に与える価格圧力や需要の変化を評価します。

STEP
結果の解釈と戦略の策定

・分析から得られた情報を組み合わせて、アイデアや業界を評価します。

・業界の構造に基づいて戦略を策定します。たとえば、競争が少ないニッチ市場への進出、新規参入の障壁を高める、代替品との差別化を図るなどの戦略が考えられます。

B-3:VRIO分析

VRIO分析
VRIO分析の図

VRIO分析は、自社の優位性を見える化するための分析手法です。「Value(価値)」「Rareness(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の4つの頭文字をとって、VRIOと言います。

自社の持つ技術力や開発力、営業力、人材などの経営資源を4つの評価指標で分析します。各資源に対して「Value(価値)」「Rareness(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の観点で情報収集したり評価分析を行います。

VRIO分析のやり方

STEP
分析の対象となるテーマを設定する

・分析対象となるテーマを設定します

STEP
テーマに関連のある経営資源を洗い出す

・テーマに関連のある経営資源を洗い出します

STEP
経営資源に対してVRIOの4軸で評価する

・Value(価値):リソースや能力が市場で価値を提供し、顧客のニーズにどのように応えるかを評価します。

・Rarity(希少性):リソースや能力が市場で珍しいものかどうかを評価します。競合他社が同様のリソースや能力を持っていない場合、それは希少です。

・Imitability(模倣困難性):競合他社がそのリソースや能力を模倣するのがどれほど困難かを評価します。模倣コスト、必要な時間、技術的複雑さなどがポイントになります。

・Organization(組織):企業がリソースや能力を最大限に活用し、競争優位を維持するためのシステムやプロセスが整っているかを評価します。

B-4:SWOT分析

SWOT分析
SWOT分析の図

SWOT分析はバランスの良い分析手法です。自社の外部環境と内部環境を「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの要素で要因分析します。

内部環境では、人・もの・金のような資源のほか、自社特有の強みを言語化します。外部環境では、世の中の動きや業界動向などマクロな観点に加えてベンチマークしている会社の動向も記載しましょう。

SWOT分析のやり方

STEP
目的となるテーマを設定する

・SWOT分析を行うテーマを明確にします

STEP
SWOTの4軸で分析する

・強み(Strength)の特定:組織が持つユニークなリソースや能力、内部プロセスの優位点、市場での強力なブランド、専門技術、顧客関係などを洗い出します

・弱み(Weakness)の特定:組織のリソースの不足、効率の低いプロセス、技術的遅れ、財務制約、組織内のスキルギャップなど洗い出します

・機会(Opportunity)の特定:市場の成長、技術革新による新たなビジネスチャンス、規制の変更、顧客ニーズの変化、新興市場への進出など洗い出します

・脅威(Threat)の特定:競合の激化、経済状況の不安定、技術の進化による製品の陳腐化、法規制の強化、市場ニーズの変化など洗い出します

SWOT分析のヒント

強み(Strengths)・何をよくできるか?
・競争相手に比べて優れている点は?
・内部資源(人材、技術、知的財産、顧客関係)の強みは?
・組織のユニークな競争優位は?
弱み(Weaknesses)・どの領域で改善が必要か?
・競争相手に劣っている点は?
・資源の制約は?
・内部プロセスのどの部分が効率的でないか?
機会(Opportunities)・市場にはどのような機会があるか?
・現在の市場動向は?
・外部環境の変化(技術革新、規制の緩和、社会経済的変動)が提供する機会は?
・拡大可能な顧客基盤や新市場は?
脅威(Threats)・組織にとっての主な脅威は何か?
・競争相手の動向は?
・経済的・政治的条件の変化が及ぼす影響は?
・技術の進化による影響は?

B-5:ペルソナ設定

ペルソナ設定
ペルソナ設定の図

ペルソナとは、サービスや商品の顧客となる代表的な「お客様像」を見える化したものです。年齢、性別、家族構成、趣味、思考、職業など網羅的にお客様の特徴を言語化します。その上で、どのような情報収集をし何を感じているのかについても表現します。

ペルソナをきちんと設定すると、チーム間での認識齟齬が発生しにくくなるため、調査段階である程度解像度を上げておくことをおすすめします。ただし、サービスローンチ後にはお客様像がより具体的に分かりますので、ペルソナはアップデートする前提で作りましょう。

ペルソナ設定のやり方

STEP
ターゲットとなる顧客像を1人だけ思い浮かべる

・ターゲットとなる顧客像を1人だけ思い浮かべます。複数のペルソナを設定することも可能ですが、最も顧客像に近しいイメージを1人だけ想像してください。

STEP
対象のペルソナの属性情報などを言語化する

・名前、年齢、性別、家族構成、仕事、居住地、収入、趣味、休みの日の過ごし方、好きな本、悩み、好きなこと、などペルソナの情報を網羅的に洗い出します

STEP
情報を整理する

・洗い出した情報を整理します

・正しさの確証を得るためにインタビューなど実施するとペルソナ像をより精度の高いものにできます

B-6:カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップの図

カスタマージャーニーマップとは、代表的なお客様像を表現したペルソナ(B-5参照)が、サービスや商品を利用するまでの体験プロセスを時系列のストーリーで見える化するものです。

お客様が購買に至るまでに感じること、取る行動を顧客目線で把握できるメリットがあります。ペルソナ像のより具体的な行動を把握することで、チーム間での認識齟齬を小さくできます。

カスタマージャーニーマップのやり方

STEP
目的の明確化

・カスタマージャーニーマップを作成する目的をはっきりさせます

・新製品の導入、顧客サービスの改善、ユーザーエクスペリエンスの最適化など、具体的な目的を設定します。

STEP
対象顧客の定義

・ペルソナの作成:ターゲットとなる顧客(ペルソナ)を定義します。年齢、性別、職業、趣味、生活スタイルなど、詳細な顧客プロファイルを作成します。(B-5参照)

STEP
タッチポイントの特定

・顧客が製品やサービスと接触する全てのポイント(ウェブサイト訪問、店舗訪問、カスタマーサービスとのやり取りなど)を列挙します。

STEP
ジャーニーのマッピング

・各タッチポイントで顧客がどのような経験をしているかをマッピングします。感情の変動、問題点、顧客の評価などを視覚的に表現します。

STEP
インサイトの抽出と戦略の策定

・ジャーニーマップから顧客体験のギャップを抽出します

・ギャップを埋め、顧客体験を向上させるための戦略を策定します

B-7:4P分析

4P分析
4P分析の図

4P分析では「製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)」の4つの要素を調査します。特に競合分析する際に重要な観点が盛り込まれています。

それぞれの要素が競合における「強み」となりますので、自社の競争優位性と比較しながら調査してみましょう。

4P分析のやり方

STEP
製品(Product)の分析

・機能、品質、デザイン、バリエーション、色、サイズ、機能、ブランディング、パッケージングなど分析します

STEP
価格(Price)の分析

・価格設定、市場指向、割引策、、支払い条件、地域による価格差、季節による価格変動、プロモーション期間の特別価格など分析します

STEP
流通(Place)の分析

・直販、オンラインストア、卸売業者、小売業者、国内市場、国際市場、都市部/地方、流通戦略、独占販売状況などを分析します

STEP
プロモーション(Promotion)の分析

・広告、テレビ、ラジオ、パブリックリレーションズ、メディアリリース、イベント、スポンサーシップ、クーポン、サンプル配布、ポイント制度、ソーシャルメディアマーケティング、キャンペーンなど分析します

B-8:バリューチェーン分析

バリューチェーン分析
バリューチェーン分析の図

バリューチェーン分析は「企業がお客様へ提供する価値(バリュー)の連鎖(チェーン)を可視化」する手法です。

バリューチェーンは業種ごとに異なるため、業界ごとの主活動を可視化することから始めます。そして、バリューを深掘りすることで、その企業の優れている点がわかります。企業が製品やサービスを顧客に提供する過程で付加価値を生み出す活動を系統的に理解し、その中の競争優位を構築できる要素を特定するために用いられます。

バリューチェーン分析のやり方

STEP
バリューチェーンの主要活動を特定

・内部物流(原材料の受け入れ、在庫管理、材料の運搬と保管など)、製造( 製品の組み立て、製造過程での機械操作、パッケージングなど)、外部物流( 製品の配送や配達、顧客への物流サービス)、マーケティングと販売( 広告活動、プロモーション、販売戦略の展開、顧客との交渉など)、サービス( 顧客サポート、メンテナンスサービス、製品情報の提供、顧客のクレーム対応など)を特定します。

STEP
コストと付加価値の分析

・各活動のコスト構造を分析し、コスト削減できる機会を評価します

・各活動が製品やサービスにどのように価値を加えているかを評価します

STEP
競争優位性を特定

・製品/サービスを競合と差別化できるポイントを見つけます

C:優先度付与のフレームワーク

アイデアの種のうち、どのアイデアを採用するか優先度を検討していきます。そのためには、優先度を比較検討するフレームワークの活用が有効です。

C-1:期待効果/課題マトリクス

期待効果/課題マトリクス
期待効果/課題マトリクスの図

期待効果/課題の2つをベースにしたマトリクスです。アイデア自体の選別のために活用できる他、アイデアの具体的なタスク整理にも役立ちます。

シンプルなフレームワークですが、期待効果と課題感から優先度付与が簡単にできるので、バランスの良い方法です。

期待効果/課題マトリクス分析のやり方

STEP
マトリクスの準備

・一枚の大きな紙かホワイトボードを用意し、縦軸に「期待効果」、横軸に「課題」を記入します

・各軸を「高」と「低」の二つに分け、四つの四角形の区画を作ります

STEP
アイデアのリストアップと分類

・手がけている全アイデアをリストアップします

・各タスクについて、それがどれだけ期待効果が高く、どんな課題があるかを自問自答し、各タスクを適切な象限に配置します

STEP
優先順位の決定

・第一象限のアイデアに最優先で取り組みます。第二象限のアイデアに対しては、長期的な計画を立て、着実に進めます。それ以下は、保留アイデアとします。

C-2:加点式意思決定マトリクス

加点式意思決定マトリクス
加点式意思決定マトリクスの図

加点式意思決定マトリクスは「選択肢ごとに評価基準を決め、定量的・客観的に評価する方法」です。複数の選択肢を評価・選定する際に活用します。

特に、異なる基準や要因を考慮する必要がある複雑な意思決定に有効です。このマトリクスを利用することで、客観的かつシステマティックに意思決定を行うことができるので、冷静にアイデアを判断したい時に活用しましょう。

加点式意思決定マトリクス分析のやり方

STEP
選択肢と評価基準の設定

・決定を必要とする事項に関する可能な選択肢を全てリストアップします

・選択肢を評価するための基準を定義します。コスト、収益効果、時間、実現可能性、将来性、リスクなどが含まれることが多いです

STEP
マトリクスを作成

・表形式でマトリクスを作成します。行には選択肢を、列には評価基準を配置します。

・各評価基準の重要度を割り当てます。重要度は、点数やパーセンテージで表されることが一般的です(例:1-5点、または10%、20%など)

STEP
選択肢の評価

・各選択肢を各評価基準に基づいて評価します

・評価は数値で行い、高い数値がより望ましい結果を示すようにします。基準の重要度に応じて、各評価のスコアに重みをかけます(重要度 x 評価スコア)。

STEP
最終スコアの計算と選択

・各選択肢について、加算したスコアを合計します。最も高い合計スコアを持つ選択肢が最も望ましい選択肢となります。

D:戦略立案のフレームワーク

具体的なアイデア案が固まったら、どのように戦っていくか戦略を立案しましょう。新規事業における戦略立案に関するフレームワークを紹介します。

D-1:プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの図

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは「市場成長率」と「相対的マーケットシェア率」を用いて、マトリクス分析する手法です。4つの象限は「花形事業」「問題児」「金のなる木」「負け犬」と呼ばれ、また事業規模を円の大きさで表現します。

「市場成長率の高い市場ほど競合状況が激しく競争が激化する」「相対的マーケットシェア率が高いほど市場での占有率が向上し利益率が高くなる」という前提があります。投資目的であれば市場成長率を、収益目的であればマーケットシェア率をみるとよいでしょう。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントのやり方

STEP
アイデアの書き出し

・現在保有しているアイデアをリストアップし、4象限にプロットします

・ひとつひとつのアイデアの規模は円の大きさで表現します

STEP
事業優先度を決める

・どの事業を優先的に実行するか決めます

・基本的な優先度としては「花形事業」「金のなる木」「問題児」「負け犬」です

D-2:STP

STP
STPの図

STPとは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字をとった戦略立案のフレームワークです。

意味は以下のとおりです。

S=セグメンテーション:市場を細分化する

T=ターゲティング:狙う市場を選定する

P=ポジショニング:立ち位置を明確にする

アイデアを実行したい市場が、特に競争が激しい場合や、競合環境が複雑な場合に有効な方法です。「市場の選択と集中」「競合との差別化」を検討する際に用いてください。

STPのやり方

STEP
セグメンテーション(Segmentation)

・大きな市場を特定の基準に基づいて小さな市場グループに分割します

・地域、国、都市、郊外、年齢、性別、家族構成、収入、職業、ライフスタイル、価値観、性格特性、購買行動、ブランドの忠誠心、製品の利用頻度などでセグメンテーションします

STEP
ターゲティング(Targeting)

・セグメント化された市場の中から、どのセグメントを企業のターゲット市場とするかを選定します

・各セグメントのサイズ、成長潜在力、アクセス容易性、収益性、などから選定します

STEP
ポジショニング(Positioning)

・選定したターゲット市場に対して、製品やブランドをどのように位置付けるかを決定します

・ポジショニング戦略の開発:製品の差別化要因や競合との比較、顧客のニーズとどのように合致するかを明確にします

D-3:ポジショニングマップ

ポジショニングマップ
ポジショニングマップの図

ポジショニングマップは、事業アイデアの取りうるポジションを決めるフレームワークです。市場を分析し、差別化できるようにポジションを決めます。

ポジショニングマップでは2軸に「顧客が商品やサービスを認識する際に重視する要素」を設定し、マトリクス化します。マトリクス上に競合状況を整理することで、どのポジションを獲得可能か検討しやすくなります。

ポジショニングマップのやり方

STEP
競合分析

・対象となる市場における主要な競合状況をリストアップします

・競合製品に関する情報を収集します。価格、品質、機能、顧客評価などを分析します

STEP
評価基準の選定

・ポジショニングマップで使用する2つの主要な評価軸を決定します

・一般的な軸には価格(高い vs 低い)、品質(高品質 vs 低品質)、性能(高性能 vs 低性能)、高級感(高級 vs 低級)、利便性(高い vs 低い)などがあります

STEP
マップの作成

・横軸と縦軸に選んだ評価基準を配置し、座標軸を描きます

・収集したデータに基づき、各競合を適切な位置にマッピングします。位置は各競合の特徴が反映されるように決定します。

STEP
分析と戦略策定

・マップを分析して、市場内の空白領域や飽和領域を特定します。空白領域は新たな市場機会(ブルーオーシャン)を示しています

・マップを基にして、自社製品のポジショニング戦略を策定します

D-4:ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスの図

ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルを整理するためのフレームワークです。互いに関連し合う9つの要素を整理することで、ビジネスモデルの原型を考えることができます。以下、9つの要素となります。

顧客セグメント価値の提供先となるお客様/顧客
顧客との関係顧客との関係構築方法
価値提案提供する価値/バリュー
チャネル価値の届け方
収益の流れ収益獲得方法
コスト構造必要コスト
主な活動組織が行う活動内容
主なリソース価値提供のために必要となる資源
パートナー外部委託先やアライアンス先

ビジネスモデルキャンバスのやり方

STEP
要素の洗い出し

・ビジネスモデルキャンバスに必要な情報をそれぞれ書き出します

・不足がないかはチームなどで会話するようにし、網羅的にキャンバスを埋めてください

STEP
分析と評価

・各セクションの内容を詳細に分析し、ビジネスモデル全体の一貫性と実現可能性を評価します

・可能であれば外部のフィードバックも取り入れ、客観的な意見を参考にし、ビジネスモデルとして妥当か判断します

E:実行のフレームワーク

アイデアを実行するにはゴール設定と管理の視点が重要です。フレームワークを用いて、アイデアの目的地がブレないように進行しましょう。

E-1:ロードマップ

ロードマップ
ロードマップの図

ロードマップとは、未来の目標に到達するための進行表のことです。時間やコスト、必要資源、その他の要素を加味して、ゴール到達への道を明確にするために用いられます。

ロードマップを作成することで、中長期の目標を描きやすくなります。個人でのワークにももちろん利用できますが、チーム内で認識を合わせる際にも有効な手段となります。詳細図ではなく外観図として利用されるため、事業として何を目指しているのか立ち返る先にもなり得ます。

ロードマップのやり方

STEP
目標とビジョンの明確化

・アイデアが達成すべき具体的な目標を定義します

・長期的な視点で、アイデアがどのような未来を創造するかを描きます

STEP
現状を書き出す

・目標に対して、現状をどのような状況なのかを書き出します

STEP
タイムラインの作成

・プロジェクトの主要な成果物やイベントをマイルストーンとして設定します

・各マイルストーンに達成予定日を設定し、全体のタイムラインを作成します

STEP
アクティビティとリソースの割り当て

・各マイルストーンを達成するために必要なアクティビティやタスクを洗い出します

・各アクティビティに必要なリソース(人材、資金、技術など)を割り当てます

E-2:ガントチャート

ガントチャート
ガントチャートの図

ガントチャートは、具体的なプロジェクト管理やタスク管理に用いられる棒グラフ状のタスク一覧表です。作業計画や進捗状況を可視化することで、遅延状況や進行状況のアップデートに役立ちます。

担当者と期限日をタスクごとに整理できるため、チーム内での役割についても明確化されます。アイデアの具体的な実装段階で非常に有効な方法論です。

ガントチャートのやり方

STEP
プロジェクトのタスクをリストアップ

・プロジェクトを成し遂げるために必要なすべてのタスクをリストアップします

・大きなタスクはさらに小さな作業単位に分解することで、管理が容易になります

STEP
各タスクの所要時間を洗い出す

・各タスクの完了に必要な期間を推定します。この情報はプロジェクトの計画とスケジュール作成に不可欠ですので、綿密に洗い出しましょう

STEP
ガントチャートを作成

・Microsoft Excel、Google スプレッドシートなど、多くのツールがガントチャート作成に利用可能です

・ガントチャートにおいては時間軸が重要です。プロジェクト開始日と終了日を設定し、この範囲でタスクが配置されるようにします

・各タスクに担当者を記載します

STEP
チャートの調整と更新

・プロジェクト進行中にガントチャートを定期的に更新し、実際の進捗状況を反映させます

・プロジェクトの変更や遅延が生じた場合は、ガントチャートを調整して、新しいスケジュールを全員が把握できるようにします

F:振り返りのフレームワーク

最後は振り返りのフレームワークです。新規事業立ち上げ後にぜひ活用していただきたいです。その他、アイデア出しの段階や調査の段階など、あらゆるフェーズにおいて振り返りは可能です。行動した内容を評価したい場合に有効なフレームワークのご紹介となります。

F-1:KPT

KPT
KPTの図

KPT(ケプト)とは、「Keep(継続)」「Probrem(問題点)」「Try(挑戦)」の3つの要素から、現状の業務状況を分析し振り返るフレームワークです。

業務上の細かな気づきや、属人化された課題を洗い出し、今後のアクションに活用することができます。

KPTは定量的なKPIやできごとだけでなく、定性的な気づきや感想にも目を向けます。一定期間ごとの振り返りをおこなうことで、業務内容やチームのあり方を再定義し、質の向上に役立ちます。

KPTのやり方

STEP
Keep(継続)の洗い出し

・チームメンバーに、うまくいった点、成功した活動、継続すべきプラクティスを挙げてもらいます。具体的な例を共有し、なぜその活動が効果的だったのかを議論します。

STEP
Problem(問題点)の洗い出し

・チームメンバーに、プロジェクト中に直面した問題や挑戦、改善が必要だと感じた点を挙げてもらいます

・問題点を具体的に特定し、原因を分析します

STEP
Try(挑戦)の洗い出し

・各問題点に対して、どのような解決策や新しいアプローチが考えられるかを議論します

・実行可能なアクションプランや試すべき新しいアイデアを具体的にリストアップします

STEP
アクションプランの確定

・提案されたTryの中から、実際に実行するアクションを選定し、それぞれのタスクに責任者と期限を設定します

F-2:YWT

YWT
YWTの図

YWTとは、「Y(やったこと)」「W(わかったこと)」「T(次にやること)」の3つの項目で振り返りを行うフレームワークです。KPTに近しいフレームワークですが、より経験をベースにした内容を議論する際に役立ちます。

YWTのやり方

STEP
Y(やったこと)の洗い出し

・日々の業務の中でやったことを書き出します

STEP
W(わかったこと)の洗い出し

・やったことのなかからわかったことを書き出します。気づきや学びを可視化します

STEP
T(次にやること)の洗い出し

・次にやることを考えます。今回の学びを継続的にどうするかを考えます。

STEP
アクションプランの確定

・提案されたT(次にやること)の中から、実際に実行するアクションを選定し、それぞれのタスクに責任者と期限を設定します

F-3:PDCA

PDCA
PDCAの図

PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4ステップを繰り返すことで、業務の質を高めていくフレームワークです。この循環を継続的に繰り返していくことをPDCAサイクルと呼びます。

PDCAはあらゆる業務に応用可能なフレームワークです。売上、生産性、目標達成など様々な目的に対して効果を発揮します。

PDCAのやり方

STEP
Plan(計画)を立てる

・何をどのようなスケジュールで行うか計画を立てます

STEP
Do(実行)する

・計画を実行します。Doでは、実行した結果までを含めますので、具体的に実行したこと、計画との差分などを書き出します。

STEP
Check(評価)する

・実行に対する評価を行います。良かった点、改善点、気づいた点、変化した点、などを書き出します。

STEP
Action(改善)する

・評価を受けた改善策を検討します。改善内容は次回の計画肉見込み、次のPDCAを実行します。

まとめ

様々なフレームワークをご紹介してきました。フレームワークは思考を整理し、アイデアを実現するための効率的な手法を提供してくれます。

フレームワークをうまく活用することで暗中模索の状況を脱し、心強い武器とすることができるはずです。

もちろんフレームワークだけでは整理できない課題は山のようにありますが、ある程度の解像度への道筋はきっと見つけることができます。フレームワークを学ぶことが、事業開発の一助となることを願っております。

事業開発.comは、新規事業を担う事業家の輝く未来を応援するためのメディアですので、よろしければ他の記事もご覧ください。新規事業開発を実行する上での生の情報が蓄積されています。

事業家の輝ける未来を事業開発.comは応援しています。
事業開発.comでは、事業開発に必要なノウハウやスキルを学べる記事を投稿しています。
中には会員限定コンテンツもございますので、永年無料の会員登録をぜひお願いいたします。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

古川 賢人のアバター 古川 賢人 事業開発.com編集長/株式会社イフビズ代表

事業家、起業家。ベンチャー企業創業および新規事業開発〜運用、大企業での新規事業開発〜運用まで経験。世界的経済誌Forbesにてアジアで活躍する30歳未満のリーダー人材(Forbes 30 Under 30 Asia 2021)として選出された他、グッドデザイン賞、日本ギフト大賞、ACC等受賞経験あり。事業開発人材=事業家の働きやすい環境作りや事業家育成が企業成長及び経済成長の鍵と考えている。

目次